【無料テンプレート付き】LIMS導入でベンダー相談前に準備すべき5つの資料

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LIMS(Laboratory Information Management System)の導入を検討していると、
「まずはベンダーに相談しよう」と考える方が多いのではないでしょうか。
ですがLIMSの導入は、単なるシステムの入れ替えではなく、業務フローやデータ管理のあり方を大きく変えるプロジェクトです。

ですので、準備不足のままベンダーに相談すると、次のような問題が起こりがちです。

これは多くの企業で実際に起きている失敗例です。
「要件が曖昧なまま契約 → 手戻りでコスト超過・導入遅延」という事態は避けたいですよね。
逆に、事前に必要な資料を整えておけば、プロジェクトは低コストかつ短期間で進められます。

そこで本記事では、ベンダーに相談する前に準備すべき3つの資料を紹介します。
また、すぐに使えるExcelテンプレートも無料公開しています。
ぜひ皆様のLIMS導入に役立ててください。

目次

なぜベンダー相談前に準備が必要か

ベンダーに相談する前に準備をする最大のメリットは、「ベンダーとの会話が具体的になる」ことです。
どういうことか、理由を順に紹介します。

  • 提案・見積の精度が上がる
    → 曖昧なヒアリングに基づく「ざっくり見積もり」を防止
  • 社内の関係者間で合意形成しやすい
    → 導入目的や優先順位が整理されるため、意思決定がスムーズ
  • プロジェクトの方向性がぶれにくい
    → As-Is(現状)とTo-Be(あるべき姿)が明確なので、途中で仕様が迷走しない
  • 低コストで導入できる
    → 要件が整理されているため、余計な開発や修正が減る
  • 短期間で実装できる
    → ベンダーが初期段階から具体的に動ける

言い換えれば、準備不足のまま相談すると、ベンダーは「まず要件整理から」となるため、工数もコストも増えてしまうのです。
それを防ぐためには、事前に社内で用意を整えておくことが重要です。

準備すべき5つの資料

ここからは、最低限揃えておくべき資料を3つ紹介します。
これらの資料を用意しておけば、自社に最適なLIMSを選定てき、プロジェクト開始後もスムーズに作業が進むでしょう。

業務フロー図(As-Is/To-Be)

目的:現状(As-Is)の業務手順と、LIMS導入後に目指す理想的な業務フロー(To-Be)を可視化し、改善ポイントを明確にする。
効果:現場とシステム担当者の認識を合わせやすくなり、LIMSに必要な機能やデータ構造を具体的に検討できる。また、ベンダーに対して業務の全体像を短時間で共有でき、提案の精度が高まる。

内容例:

  • 試料受付 → 試験 → 結果入力 → 承認 → 報告書発行 の流れを図式化する
  • 試験依頼や承認に関わる担当者、システム入力のタイミングを明示する
  • 手作業が多い箇所(紙やExcel処理)を洗い出し、自動化ポイントを整理する

機器リスト

目的:自社の分析機器や検査機器の現状を整理するため。
効果:LIMSと接続すべき機器が明確になり、インターフェース開発の工数を正確に見積もれる。

内容例:

  • 機器名・メーカー・型番
  • 設置場所・利用部門
  • 出力データ形式(例:CSV, XML, 専用フォーマット)
  • ネットワーク接続可否

要件リスト

目的:業務上の課題や改善したいポイントを整理し、優先順位をつけるため。
効果:ベンダーの提案内容を比較検討しやすくなり、導入目的を社内で共有できる。

内容例:

  • 試験依頼の受付を紙から電子化したい
  • 承認フローを自動化したい
  • レポート出力をExcelからシステム標準に置き換えたい
  • トレーサビリティを強化したい

URS(User Requirements Specification;ユーザー要求仕様書)

目的:ユーザー要件を正式な文書としてまとめ、ベンダーと共通認識を持つため。
効果:ベンダーからの提案・見積書の質が高まり、要件定義の手戻りを防げる。

内容例:

  • プロジェクトの背景・目的
  • システム化範囲
  • 機能要件(入力、処理、出力)
  • 非機能要件(性能、セキュリティ、運用性)

データ定義一覧表

目的:LIMSで管理・登録・参照・出力するデータ項目を整理し、システムに必要なデータ構造を明確にする。
効果:ベンダーが必要なマスタやテーブル設計を理解しやすくなり、提案内容の整合性が高まる。
また、どの情報を誰がいつ登録・承認するのかを明確にでき、業務フローやURSとのつながりを確認できる。

内容例:

  • 静的データ(マスタ系):製品、分析項目、計算式、機器、ユーザー、場所、報告書テンプレートなど
  • 動的データ(トランザクション系):サンプル、分析、分析結果、試薬など
  • サンプルデータに必要な項目:サンプルID、サンプル名、ロットNo、製品、採取日、採取者、登録日、承認者、備考
  • 分析データに必要な項目:サンプルID、分析項目、機器、実施日、実施者、完了日、承認日、承認者、備考

まとめ

LIMS導入を成功させるには、ベンダーに相談する前の準備が欠かせません。
つまり、自社の現状と理想を整理することが重要です。

  • 業務フロー図や機器リスト、データ定義一覧表で現状(As-Is)を整理
  • 要件リストで理想(To-Be)を明確化
  • URSで要件を文書化し、社内やベンダーとの共通言語にする

これらを揃えておくだけで、

  • 提案の質が高まる
  • 社内調整がスムーズになる
  • 低コストかつ短期間でLIMSを導入できる

という大きなメリットを得られます。
まずはテンプレートを活用して、自社の現状を整理してみてください。

もし「自社だけでは難しい」「何を書いたら良いか分からない」と感じた場合、当社にご相談いただければ支援可能です。
ご要望に応じて様々なメニューを用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

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